【長篇】
●オフ・シーズン
地下室の箱
ロード・キル
隣の家の少女
【短篇集】
【エッセイ・NF】
2000.9.30初版。
冷たい秋風が吹き始めたメイン州の避暑地にニューヨークから6人の男女がやってくる。最初に到着したのは書籍編集者カーラ。少し遅れて恋人のジム、カーラの妹マージーとその彼氏のダン、そしてカーラの元カレのニックとその彼女ローラが到着。6人全員がそろい、それぞれに休暇を楽しみ始めた夜、事件は起こる。居間の窓を破壊し襲いかかってきたのは、現地に住む食人族だった。あっという間に連れ去られるカーラ。「食人族」対「都会人」の凄惨な死闘が始まる。
ケッチャムのおっそろしいカンニバル・ホラー。1981年に発表するとき、あまりの過激さに大幅な訂正・削除を行ったものを、わざわざ「オリジナル原稿の精神を取り戻すべく手を入れた」という特別版。「書き直し」をめぐる出版社とのやり取りについては、巻末の「作者あとがき」にくわしく出ている。
これほど救いようのない話をわたしは読んだことがない。心臓の弱い人にはおすすめしない。
★★★☆(2003.8.6 白犬)
2001.5.30初版。『老人と犬』『隣の家の少女』のケッチャムが、またも鬼畜な物語を書きました(原著(c)は1998年)。いやはや。
妊娠中絶をしようと病院に向かう途中、なにものかにさらわれるサラ。監禁され陵辱の限りを……となるとポルノ小説ですが、期待するほどの陵辱シーンはありません、念のため。それにしたって相当ひどい仕打ちは受けるのですが。
よく考えるよなあこんなこと。中絶問題や家庭内暴力など、社会問題をとりこみつつもダークな娯楽小説に仕上げてしまう感性というのはある意味すごいです。
原題Right To Lifeは、監禁された女サラと、彼女に堕胎されそこなった胎児の両方にかけているのでしょう。
閉所恐怖症の人には勧めません(笑)。
解説中に誤植発見。「小説執筆」が「小説執事」に。どんな執事なんだろう。旦那様、この小説がよろしゅうございます、とか。
★★★(2001.7.8 黒犬)
1996.6.30の初版で、99年5月20日の3刷を購入。
暴力夫から逃げ出した女と、その恋人の男が、暴力夫を殺してしまう。たまたまそれが目撃されて、ふつうなら脅迫されるとかそういう展開になるんですが、ところがそうはならないのがケッチャム(なん冊か読んでだんだん慣れてきた)。実はこの目撃者がとんでもないやつで……。
いやはやなんとも残酷残虐残忍ざんざん七拍子な小説。痛々しいです。
しかしこの恋人って、かわいそう(笑)。
★★★(1999.11.5 黒犬)
1998.7.30初版。『老人と犬』がよかったので、目についたケッチャム本を読んでみました。
それにしても、こ、これは……つらい、痛い、きつい。
けっしてお勧めはしません。
主人公デイヴィッドが少年だったころのある夏。隣の家に、両親を交通事故で亡くした姉妹がひきとられてくる。姉のメグにほのかな恋心を寄せるデイヴィッドだったが、隣家の母親・ルース、そしてデイヴィッドの友人である兄弟たちの勢いに呑まれてしまって……ああもうこれ以上は書けません。
すっげえ後味悪いです。悲惨です。むちゃくちゃです。腹立って来ます。
真の“ホラー”ですかね。たまらんですね。お化けより宇宙人よりゾンビより、やはり一番怖いのは人間です。
★★★☆(1999.9.3 黒犬)
last updated : 2003/10/08
contact?
copyright(c)2003 by Dakendo-Shoten.
All rights and bones reserved.